
『仮面病棟』ってどんな作品?
こんな疑問を解決します。
何か面白そうなミステリー・サスペンス系の小説がないかと探し、書店で偶然手に取ったのが『仮面病棟』でした。
「一気読み注意!」
「怒涛のどんでん返し!」
「面白さ、ぶっ飛び!」
こんなことが書いてあるラベルが巻かれていると、思わず気になってしまいませんか?笑
そんなわけで、この『仮面病棟』を購入し読んだ感想などを、私がお届けしたいと思います。
本記事では、小説『仮面病棟』のあらすじと書評・感想について書いていきます。
小説『仮面病棟』の作品情報
- 著者:知念実希人
- 出版社:実業之日本社
- 出版日:2014年12月15日
『仮面病棟』の著者は知念実希人さんという方で、医療ミステリー作家として知られています。
東京の医大を卒業しており、内科医としても活躍。
その影響もあって、専門知識を駆使した非常にリアルな物語を書かれます。
- 『時限病棟』
- 『レゾンデートル』
- 『リアルフェイス』 など
小説『仮面病棟』のあらすじ

- 速水秀悟(当直医)
- ピエロ
- 川崎愛美(ピエロに撃たれ拉致される)
- 院長
- 東野
- 佐々木
先輩医師の代わりで、急な療養型病院の当直医を任されることになった速水秀悟。
当直室で待機していると、看護師から「一階に来てほしい」との連絡を受ける。
秀悟が駆けつけた先には、ピエロのお面を被った男とお腹の辺りを撃たれた女性が待っていた。
ピエロの男は、自分が銃で撃ち怪我をさせた女性の治療を秀悟に求める。治療を終えると、翌日の朝まで病院に籠城するとピエロは言う。
銃を所持したピエロがいる危険な状況から、何としても脱出をしたいと考える秀悟。
それを試みるうちに、知られざる病院の秘密が明らかになっていく…
ピエロとの激しい心理戦の末に待ち受けている結末とは。
小説『仮面病棟』の書評・感想
医療的な難しさはない

「医療」と聞くと、小難しい専門用語がたくさん出てきて難しそう…
こんな不安を感じる場合もあるかと思います。
しかし、『仮面病棟』にはその種の難しさはほとんどなし。
たしかに、医療関係の専門用語はちらほら出てきますが、話が複雑になって分かりにくくなる程ではなかったです。
それよりもフォーカスされているのは、やはり院内で巻き起こる激しい心理戦。
院内に籠城し始めたピエロや閉じ込められた秀悟、院長たちの駆け引きが見どころの1つとなっていました。
あくまで医療的な要素が使われているのは、この事件のバックグラウンドとして。
人の生死に関わることですから、人間の嫌らしい部分が垣間見える点や人間の強い行動力を引き立てる点で、医療的な要素が物語の面白さを引き立てていました。
オチはスッキリよりモヤモヤ感
物語序盤から伏線がいくつか張られており、最終的にはしっかり回収されます。
いわゆる”どんでん返し”と言われる作品なのですが、結末は「スッキリ」というより「モヤモヤ」という感じが残りました。
伏線は回収されるものの、いまいち腑に落ち切らないというか。
ちょいちょい違和感を感じる部分があったのが本音です…
この手の作品は、物語のオチを迎えたときに読者が「スッキリ納得できた」「騙された!」と思えるかどうかが重要だと考えています。
それに関して述べると、「ちょっと微妙な感じで終わらせすぎかな」と思いました。
すいません、個人の好みかもしれませんが…
もしかしたら、「これはこれで良い」という意見も十分にあると考えられます。
少なくとも私にとって、「騙された感」が薄かったことをここで付け加えておきます。
ミステリー・サスペンス初心者に優しい一冊
物語はそう複雑ではなく、ミステリー・サスペンス初心者にとって取っつきやすい一冊であると思います。
逆に、その種の作品に慣れ親しんでいる場合は、物足りなさを感じるかも。
「良くも悪くも分かりやすい」という表現が適切だと考えます。
登場人物の態度や発言があからさまに不自然なことがあるので、その真意を読み取ることが比較的簡単。
丁寧に読み進めれば、勘の良い人だとオチが読めてしまうかもしれません。
と言っても、内容が「難しい」とか「簡単」とかあまり考えすぎず、『仮面病棟』を気軽に楽しもうと思って読むのが一番だと思います。
最後は手のひら返しみたいになってしまいましたが、気軽にお手に取って読んでもらえれば、私は嬉しいです。
小説『仮面病棟』まとめ
本記事では、小説『仮面病棟』のあらすじと書評・感想について書きました。
ミステリー・サスペンスに慣れ親しんでいなくても、取っつきやすく良質な作品ですので、ぜひ一度読んでみてください!